普段の食生活で油ものは控えるべき?

 前回、痩せる為にはどのような食事が良いかについての研究を紹介しました。では、普段の健康維持のための食生活ではどういった事に気をつければいいのでしょうか。

 今回紹介するのは“Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study” (5 大陸 18 カ国における脂質および炭水化物の摂取量と心臓血管疾患および死亡との関連性:前向きコホート研究)と いう論文。 

 現行のガイドラインでは普段の食事で脂質はカロリー換算で30%未満に抑えることが推奨されていますが、この論文は脂質摂取に関する新たな事実を伝えています。
 

 この研究では各国から13万人を超える人の食事データを集め、7年位追跡して調査しています。
 その結果、

  • 炭水化物摂取量が多いグループで死亡率が高いこと
  • 脂質は種類に関わらず摂取量が多いグループが死亡率が少ないこと、
  • 飽和脂肪酸(肉に多い)の摂取量が多いグループが脳卒中が少ないこと
  • 脂質は種類に関わらず心血管疾患と関係しないこと

 が示されました。

 では、「全ての食事を脂質だけにすればいいのでは?」と思えますが、実際の食生活で脂質だけを摂取することは難しいでしょう。常識の範囲で、「脂質(魚・肉の脂身、植物油など)を制限する必要はなく、その分炭水化物(ごはん、パン、麺、甘いおやつ、砂糖など)は少し減らして、バランス良く食べるのが良い」と解釈すると良いと思います。 

 また、別に紹介する機会があるかもしれませんが、極端な炭水化物制限(いわゆるノンカーボダイエット)は死亡率が高くなるという研究もあります。あくまでもバランス良く、ということが大切ですね。

 なお、この論文は全文を読むのは有料ですが、要約は無料で読めます。図表付きで日本語解説をしているPDFも公開されています。